オールオン4の寿命は長い?短い?ほかの治療との比較や長く使う工夫も
この記事の監修

歯学博士・国際インプラントリサーチセンター理事長
えぼした 敬
患者様の治療実績は、累計10,000件以上(2024年7月現在)
国内外の著名な機関でインプラント治療と審美歯科の研鑽を積み、40年以上にわたり高度な歯科治療を提供。
オールオン4は、4つという少ないインプラントで複数の人工歯を支える治療法です。見た目や噛む力に優れている一方、治療費は決して安いとはいえません。だからこそ、オールオン4は何年もつのかと、寿命に疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。
オールオン4の平均寿命や10年後の状態から、ほかの治療法との違い・長く使うためにはどうすればよいのかまで詳しく解説します。オールオン4での治療を検討している方は、費用対効果を踏まえて後悔しない選択をするため、ぜひ参考にしてみてください。
<この記事で分かること>
・オールオン4の平均的な寿命は10年~15年
・ほかの治療と比較してオールオン4の長期的な費用対効果は高い
・インプラントに良くない生活習慣やケア・メンテナンスの不足はオールオン4の寿命を縮める
・オールオン4を長く使い続けるには、治療する医院選びと日常のケア・定期的なメンテナンスが必要
オールオン4の寿命はどれくらい?
「オールオン4」は、複数本の人工歯を4つのインプラントで支える治療法です。手術の負担が軽く見た目も自然に仕上がりますが、「どのくらい長く使えるのか」が気になっている方も多いのではないでしょうか。
オールオン4の一般的な寿命の目安や、構造ごとの耐用年数・10年後に多くの人が感じる変化について解説します。
オールオン4の一般的な耐用年数は何年?
オールオン4は、3〜5年で交換が必要になる総入れ歯と比べて圧倒的に寿命が長い治療法です。オールオン4の耐用年数は一般的に10年〜15年程度が目安とされています。
また、適切なメンテナンスを継続することで20年以上使用できるケースもあります。寿命の長さは、使用される素材や埋入位置の骨の状態・手術の精度・治療後のケア状況に大きく左右されます。
特にメンテナンスの有無は寿命を大きく分ける要因であり、歯科医院での定期的なチェックと日々のセルフケアが不可欠です。
上部構造とインプラント体、それぞれの寿命
オールオン4は、人工歯が一体化した「上部構造」と、それを支える「インプラント体(ネジ部分)」の2層構造です。このうちインプラント体はチタン製で耐久性が高いため、15年〜20年以上の長期使用が期待できます。
一方、上部構造は経年劣化しやすく、使用状況によっては10年もたたずに修理や交換が必要になる場合もあります。ただ近年では、当院のようにフルジルコニアセラミックスを使用する医院も増えており、強度と審美性の両立が可能です。
オールオン4治療をした10年後の状態は?
治療から10年が経過したオールオン4の状態は、患者さんの口腔内環境やケア状況によって差があります。ただ、しっかりとメンテナンスを受けている場合は安定して機能しているケースが大半です。
見た目や噛み合わせも良好に保たれていることが多く、特に上部構造がジルコニア製の場合、変色や摩耗が少ないのが特徴です。
ただし、10年を過ぎると接合部のネジの緩みや人工歯の小さな欠け、歯茎の変化などが生じやすくなります。違和感を覚えた場合は、早めに診察を受けることで大きなトラブルを防げます。
オールオン4とほかの治療法の寿命・費用対効果を比較
オールオン4を検討しているなら、寿命を含めてほかの治療法と比較することも大切です。通常のインプラントや入れ歯といった治療と比べて、長く使えるのか・費用対効果に優れているのかは、治療方法を選択する判断材料になります。
寿命や維持費・通院頻度などの観点から、代表的な治療法とオールオン4の違いを見ていきましょう。
オールオン4・インプラント・総入れ歯の寿命や維持費
歯がなくなってしまったときに選択肢となる、3つの治療法の寿命(耐用年数)と維持費・見た目や使い心地を比較してみました。ブリッジは一部の歯だけを補う補綴治療なので、比較表からは除いています。
項目 | オールオン4 | 1本ずつのインプラント | 総入れ歯 |
耐用年数(目安) | 10年~15年 | 10年~15年 | 3年~5年 |
初期費用(目安) | 片顎 330万円~370万円(東京都内)(当院では税込み242万円~264万円) |
片顎 240万円~480万円 |
両顎 2万円~2万5,000万円 (レジン製で3割負担の保険適用の場合) |
維持費(10年換算) | 低(主にメンテナンス費用) | 低(主にメンテナンス費用) | 高
(2回以上の作り直しが必要) |
見た目・噛み心地 | 非常に自然 | 自然に近い | 違和感が出やすい |
あくまで目安ですが、インプラントと比べるとオールオン4の安定性とコストパフォーマンスが際立っています。
総入れ歯と比較した場合、オールオン4はかなり高めです。ただ、総入れ歯の見た目の違和感や噛みにくさ・定期的に作り直しが必要になる手間を考えると、必ずしも総入れ歯のほうがコストパフォーマンスが良いとはいえません。
長期的なコストパフォーマンスはどう違う
初期費用の高さから敬遠されがちなオールオン4ですが、10年以上先を見据えた治療としては、結果的に最も経済的という可能性があります。
入れ歯やブリッジは作り直しや再治療が必要になる頻度が高く、長期的にかかる費用を積算すると、トータルではオールオン4を上回る場合もあるかもしれません。
当院のように、相場よりも手軽に受けられる費用でオールオン4治療を提供している医院もあります。ただし、オールオン4は長く使える素材と高い技術力があってこそ、低価格でも安心して選べる治療です。あまりに安いのではと思った場合は、医院の実績や評判をチェックしましょう。
治療時間や術後負担の観点から見た違い
治療を選ぶ際に見落とされがちなのが、「施術にかかる時間」や「術後の身体的負担」です。例えば入れ歯は比較的短期間で装着できますが、装着後に違和感や痛みが出てしまい、調整が繰り返されることもあります。
一方オールオン4は、通常は仮歯までの治療に通常5時間〜9時間かかりますが、当院のようにわずか2時間〜2.5時間で完了する医院もあります。
さらにフラップレス(メスを使わない)手術を採用している医院であれば、出血や腫れ・痛みが少なく、術後の回復もスムーズです。術後も定期的なメンテナンスは必要になるものの、違和感を調整するために頻繁に通院する必要はありません。
オールオン4の寿命が縮む原因と防ぎ方
オールオン4は寿命の長い治療法ですが、使い方や術後の環境によっては、想定より早く不具合が出てしまうケースも少なくありません。寿命を縮める要因を知り回避することで、15年・20年と快適に使える可能性が高まります。
オールオン4の寿命を左右する「生活習慣」や「手術の精度」とともに、再治療が必要になりがちなケースについて解説します。
メンテナンス不足や生活習慣の影響
オールオン4の寿命を縮める主な原因のひとつが、メンテナンス不足です。インプラントは天然歯と違って虫歯にはなりませんが、歯周病(インプラント周囲炎)にはかかる可能性があります。これを防ぐには、毎日のブラッシングやフロスの徹底・半年〜1年ごとの定期検診が欠かせません。
また、喫煙や過度な飲酒・歯ぎしりの癖なども寿命を縮める要因となります。こうした習慣がある場合は、治療前から医師に相談して対策を講じることが大切です。
治療の精度や術式による違い
治療時のインプラント埋入位置のズレや角度の誤差は、長く使う上での不具合や上部構造の損傷につながることがあります。そのため、手術の精度はオールオン4の寿命を大きく左右する要素です。
当院では、ナビゲーションシステムを導入したガイド手術をしており、CTデータに基づく正確な採用埋入位置の設計が可能です。さらに、「フラップレス手術(歯茎を切らない)」によって組織へのダメージを抑え、初期定着の成功率も向上させています。
再治療になりやすいケースとは
オールオン4で再治療が必要になるケースには、いくつかの典型パターンがあります。例えば上部構造が欠けたり割れたりする、インプラント体が骨と結合しない(初期固定の失敗)、周囲の骨が吸収されてしまうなどの場合です。
これらは事前に防げる場合も多く、使用する素材や技術力、アフターケア体制が大きな差を生みます。当院では、耐久性の高いフルジルコニア素材の採用や専門設備による正確な術式で、再治療リスクを最小限に抑える体制を整えています。
10年以上快適に使うための工夫
オールオン4の寿命は、治療直後の状態だけで決まるわけではありません。長く快適に使い続けるには、しっかりとした技術を持ち頑丈な素材を使っている歯科医院の選択や、日々のセルフケア・定期的なメンテナンスが大切になってきます。10年以上安心して使うために押さえておきたいポイントを3つ見ていきましょう。
技術が高く良い素材を使っている歯科医院を選ぶ
歯科医院の技術力は、オールオン4を長く使うために重要です。実績があるかどうかをしっかりと確認し、治療を受ける医院を決めましょう。
また、インプラント治療において、使用する素材は寿命や審美性に直結します。特に上部構造は、オールセラミックスよりもジルコニアが混ざったジルコニアセラミックスのほうが摩耗や破損に強く、長期的な使用に適しています。
当院では、全ての上部構造にジルコニアセラミックスのクラウンを採用しており、耐久性と見た目の自然さの両立を実現しています。さらに汚れが付きにくく清掃性にも優れているため、セルフケアもしやすく、結果的にオールオン4の寿命が伸ばせます。
毎日しっかりと自宅でケアをする
インプラント治療は「入れたら終わり」ではありません。特にオールオン4のように広範囲をカバーする治療では、毎日のセルフケアの積み重ねが寿命に大きく影響します。
ポイントは、「歯ブラシ・歯間ブラシ・デンタルフロス(またはインプラント専用ブラシ)」の三段構えです。人工歯の裏側や接合部にプラークがたまりやすいため、夜は少し時間をかけて丁寧に磨くとよいでしょう。
手ではよく磨けていないと思ったときは、音波歯ブラシやジェット水流で汚れを落としてくれるアイテムがおすすめです。
定期的に歯科医院でメンテナンスを受ける
セルフケアだけでは落としきれない汚れや歯石を取り除くには、歯科医院でのメンテナンスが欠かせません。オールオン4を含むインプラントのメンテナンスでは、以下のような内容が一般的です。
- 歯茎や粘膜の状態チェック
- 噛み合わせのチェック
- 上部構造やネジの緩みの確認
- 専用機器によるクリーニング(PMTC)
目安としては年に2〜3回の来院が望ましいため、通いやすい場所で継続的にサポートを受けられる医院を選ぶことが大切です。
まとめ
オールオン4は一般的に10年〜15年、正しいケアと適切なメンテナンスを受ければ20年以上の使用も期待できる治療法です。総入れ歯と比べて耐久性に優れており、費用対効果の面でも長期的なメリットが大きいのが魅力です。
ただし、治療を受ける歯科医院の技術や設備・術後のセルフケアと歯科医院でのメンテナンスが、寿命を大きく左右します。信頼できる医院を選び、自分に合った治療計画を立てることが何よりも大切といえるでしょう。
芝公園歯科では、短時間の手術・高耐久の素材・フラップレス治療・手の届きやすい価格設定など、治療後の満足度を見据えたサポート体制を整えています。もしオールオン4での治療を検討中であれば、まずはお気軽にご相談ください。