オールオン4は歯周病でも可能?歯周病に対するオールオン4の効果や注意点も

この記事の監修

えぼした敬博士

歯学博士・国際インプラントリサーチセンター理事長

えぼした 敬

患者様の治療実績は、累計10,000件以上(2024年7月現在)

国内外の著名な機関でインプラント治療と審美歯科の研鑽を積み、40年以上にわたり高度な歯科治療を提供。

オールオン4を検討していても、歯周病を抱えていて治療を受けられるか不安という方は多いのではないでしょうか。歯周病によってオールオン4が受けられないとなると、代替手段としては実質的に総入れ歯しかなくなってしまいます。歯周病があってもオールオン4は可能なのかと併せて、オールオン4が歯周病の改善・予防に効果があるのか、歯周病のある方がオールオン4治療を受けるときの注意点を解説します。

<この記事で分かること>
・オールオン4は歯周病があっても可能だが、事前に歯周病治療を終えるのがベスト
・オールオン4によって歯周病の再発・インプラント周囲炎のリスクが軽減される
・歯周病がある方がオールオン4治療を受けるときは、骨量によって難しい可能性をあらかじめ認識し、技術力の高い医院を選ぶ・生活習慣に気を配るといった工夫が必要

歯周病があってもオールオン4はできる?

歯周病患者の口腔内

歯周病によって歯を失ったり、歯がぐらついたりして、オールオン4を検討される方は少なくありません。ただ、歯の土台がボロボロの状態でも、本当にオールオン4が可能なのか不安に感じている方も多いのではないでしょうか。歯周病がある方でもオールオン4治療を受けられるのか、理由とともに解説します。

歯周病でも治療は可能

歯周病があっても、条件をクリアしていればオールオン4で歯を取り戻すことは可能です。通常のインプラント治療では、歯周病が進んで顎骨が吸収されてしまうと、インプラントを埋入するための骨が足りず手術できない可能性があります。

一方、オールオン4はわずか4本のインプラントを埋め込むだけで顎全体の義歯(上部構体)を支えられる治療法です。残っている骨が少なくても、手術を受けられるケースが多いでしょう。

さらに歯周病がある方にとってのインプラント治療の問題点は、残った歯の歯周病菌によって「インプラント周囲炎」を発症するリスクが高い点です。オールオン4なら基本的に歯周病菌が繁殖した歯を取り除いて施術するため、インプラント周囲炎のリスクを抑えられます。

オールオン4の前に歯周病治療を完了させるのが理想

歯周病でもオールオン4治療を受けられますが、可能な限り事前に歯周病の治療は終わらせておいたほうがよいでしょう。オールオン4では通常、歯茎を切開してインプラント体を埋入します。そのときに歯周病菌が傷から入り込むと、細菌感染を起こしかねません。

すべての歯を抜歯したとしても、歯周病菌は歯茎や骨の中に残る可能性があります。一度オールオン4治療を提供している医院に相談してみて、「このままでは難しい」と言われたら歯周病治療の完了が先決です。

オールオン4で歯周病の心配はなくなるのか

歯ブラシを持って笑う高齢女性

オールオン4は、歯周病によって歯が失われたり不安定になって物を噛めなくなったりした状態を改善できます。では、オールオン4治療を受けることで、歯周病そのものは改善され得るのでしょうか。

歯周病の原因がなくなる

前述したように、オールオン4では施術の前にすべての歯を抜歯します。歯周病菌が繁殖している歯をすべて取り除くことで、主要な感染源は除去され、歯周病の再発リスクは大幅に軽減されます。
また、人工歯にはエナメル質がないため虫歯にはなりませんが、プラークが付着すると炎症や口臭の原因になるため、丁寧なケアは引き続き重要です。

術後のセルフケアで再発予防効果が高まる

オールオン4はインプラント周囲炎を引き起こす可能性が低い治療ではありますが、歯周病の再発予防にはセルフケアが大切です。丁寧に汚れを取り除くことで、菌の繁殖を抑えられます。セルフケアには、以下のような手入れが挙げられます。

  • 毎食後に数分かけて、小刻みに動かしながら人工歯を丁寧に磨く
  • ワンタフトブラシを使って、汚れがたまりやすい歯茎と人工歯の間を掃除する
  • マウスウォッシュで細菌の繁殖を抑える

硬い毛先の歯ブラシを使うと、人工歯の素材によっては傷が付いてしまう可能性があります。硬めの歯ブラシは避けましょう。

プロによる定期メンテナンスも必要

丁寧にセルフケアをしていても、自分では取り切れない汚れが歯周病の再発につながる可能性があります。定期的に歯科で検診を受け、インプラント周囲炎が起きていないかをチェックしてもらうとともに、専用器具を使ったクリーニングを受けたほうがよいでしょう。

歯科医院では、歯周病のほかにオールオン4の噛み合わせや調整もしてくれます。オールオン4の寿命を延ばすためにも、半年に1回を目安としてオールオン4治療を受けた医院に受診するのがおすすめです。

歯周病がある方がオールオン4治療を受けるときの注意点

歯科医院の設備

オールオン4は歯周病で歯の土台がボロボロになった方にも適用できますが、注意したいポイントもあります。治療を検討する際は、オールオン4が難しいケースもあること、医院選びによってリスクが変わること、生活習慣にも注意が必要なこと、この3つのポイントを押さえておきましょう。

骨量が著しく少なければ難しい

オールオン4は4本のインプラントさえ埋め込めれば、問題なく顎全体の義歯を固定できます。ただ、歯周病の進行が激しく顎骨の吸収が進んでいる場合、4本のインプラントを埋入するのも困難なケースがあります。

十分な骨のある部分に対して斜めに埋入する方法もありますが、技術力のある医院でなければ難しいでしょう。スキャナーでの確認設備があっても、歯周病の方への治療実績が乏しい医院では、骨量の問題からオールオン4が難しい可能性があります。

技術力が低い医院では感染リスクが高まる

歯周病が完治していない状態でオールオン4治療を受ける場合、少なからず手術跡からの感染のリスクがあります。技術力に不安がある医院を選んでしまうと、感染のリスクが高くなる可能性があります。

現在は歯茎を切開せずインプラントを埋入できる医院も珍しくありません。傷ができなければ感染リスクは大幅に軽減します。歯周病がある方は特に、オールオン4を受ける医院を慎重に選んでください。

生活習慣や持病に注意が必要

オールオン4治療で歯周病の原因となる歯がなくなった後でも、歯周病予防が必要であることに変わりはありません。生活習慣による免疫の強さによって、施術後に歯周病が再発・発症するリスクが変わってくることに注意が必要です。免疫は口内の細菌のバランスを整え、歯周病菌が優位になるのを抑えてくれます。

免疫を上げるために意識したい生活習慣は、主に次の通りです。

  • 糖質の過剰摂取を避け、ビタミンやミネラル・タンパク質の栄養素をバランスよく取る
  • 起床時間と就寝時間を決めて、十分な睡眠を取る
  • アルコールやタバコは可能な限り控える

また、特定の病気や薬は歯周病を悪化させる要因となります。例えば糖尿病は、毛細血管の収縮によって感染への抵抗力が下がるため、歯周病の発生リスクが上がったり治りにくくなったりする原因です。薬の多くが唾液の分泌量を抑えてしまうことで、歯周病菌が発生しやすくなるという問題もあります。

持病があり薬を服用している方は、オールオン4治療前に主治医や歯科医と十分に相談し、術後のケアも含めた治療計画を立てることが重要です。

歯周病のオールオン4は芝公園歯科に相談を

きれいな歯並びの口元

「歯周病や歯周病の既往歴があるけれど、オールオン4で歯を取り戻したい」という方は、芝公園歯科にご相談ください。当院では最新設備やフラップレス手術・外部の医療機関との連携など、歯周病がある方にもおすすめできる治療環境を整えています。

最新設備の導入で的確な治療判断が可能

当院では、最新設備の導入、フラップレス手術の採用、外部医療機関との連携など、歯周病の方にも安心して治療を受けていただける体制を整えています。これにより、CTで撮影した数百枚の連続画像から、患者さまそれぞれの骨格を立体的に再現することが可能です。

歯周病が進んでいて骨量が少ない患者さまについても、迅速にオールオン4の施術が可能かどうかを判断できます。治療シミュレーションは、CT撮影をした当日に可能です。

フラップレス治療で傷からの感染リスクを軽減

フラップレス手術とは、歯茎を切開せずに、ピンホール大の穴からインプラントを埋入する方法です。傷が小さく済み、回復が早いため、歯周病菌が残っていた場合でも感染リスクを抑えやすくなります。

フラップレス治療は、痛みや腫れといった身体的負担も少ない手法です。縫合や抜糸が不要なので、通院の回数も減らせます。ただ、患者さまによっては切開による手術となるケースもゼロではありません。まずはフラップレス治療の対象となるか、ご相談ください。

お問い合わせ | 芝公園歯科・国際インプラント

外部の医療機関とも連携している

歯周病がある方は、持病によって歯周病が発生しやすくなったり治りにくくなったりします。逆に歯周病によって、さまざまな疾患が引き起こされるケースも少なくありません。オールオン4は歯科で完結する治療ではありますが、持病のある方は、治療後の健康管理に他の診療科のサポートが必要となる場合もあります。

当院では、外部の医療機関と連携して、患者さまの治療をサポートしています。歯の治療に伴う総合的な疾患について案内できる医療機関があることは、歯周病を抱える患者さまにとっては大きな安心材料となるはずです。

まとめ

オールオン4は、歯周病のある方や過去に歯周病を経験した方でも選択できるインプラント治療法です。
4本のインプラントを埋め込むだけでよいため、骨の状態が極端に悪くなければ、通常のインプラントよりも適用しやすい場合があります。

ただ、手術時の感染リスクを防ぐためにも、事前に歯周病の治療を終わらせておいたほうが安心です。難しい場合には、まずは一度歯科医院に相談し、治療の可否や方針について説明を受けることをおすすめします。オールオン4によって歯周病菌が潜んでいる歯をすべて抜歯することで、歯周病の再発やインプラント周囲炎のリスクを抑えることができます。

技術と設備の整った信頼できる歯科医院を選び、歯周病の不安から解放される治療を受けましょう。気になる方は、まずは相談から始めてみてはいかがでしょうか。

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